100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.85

2022.08.26 Fri

採用面接  企業研究・自己PR・中途採用

企業研究・自社への理解度の質問

採用面接で聞いておきたい質問が業界や自社への理解度です。質問例を見てみます。

・○○(業界用語)についてどういう勉強をしてきましたか

・この業界の事をどのように調べましたか

・当社ホームページはご覧になりましたか

・当社のどんな所に興味を持ちましたか

・当社の強みは何だと思いますか

面接中に面接官が会社の話をしたときの反応で、会社や業界に対しての理解度を測ることができます。

自己PRでの質問

応募者が自由に自己PRする時間を設けます。応募者の得意分野や成功事例などが話されることが多く、個性が発揮されやすい項目です。

・自分の強み(長所)は何だと思いますか。それを当社でどのように発揮しますか

・採用された場合、与えられた仕事にどのような姿勢で臨みますか

・過去に仕事(又は学生生活)でやってよかったと思うことはありますか

・過去に仕事でうまくいかなかった(失敗した)ことは何ですか。それをどのように解決しましたか

・仕事の中で困難な状況やわからないことに直面したときはどうしますか

等の質問でストレス耐性や成長力なども見えてきます。

中途採用者への質問

転職者の面接は応募者の能力や経験を見極めるための質問が重要で、やってきた仕事を具体的に確認し、経験・能力が募集ポストに適合するのかを見ます。

・あなたが仕事で経験してきたことをお話しください

・今後どのような仕事をしたいですか

・先ほど話された○○業務の内容を具体的にお話しください

・退職理由は何ですか

こちらの要望を出したり、課題を投げかけたり、配属予定の役職の説明をし反応を見てみます。転職回数や転職の目的が何かなども見ます。職務経歴書だけではわからない経験を具体的に聞き自社とのマッチングをはかりましょう。

譲渡所得の基因

「基因」という表現が、税務では良く使われます。「譲渡所得の基因」「山林所得の基因」「不動産所得の基因」「退職所得の基因」などです。

譲渡所得の基因となる資産の譲渡

「譲渡所得の基因」となる資産の譲渡とは、土地、借地権、建物など不動産、株式、NFT、金地金、宝石、書画、骨董、配偶者居住権などの資産の譲渡を指します。

そのほか、法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡も、資産の譲渡とみなされ、「譲渡所得の基因」となる資産の譲渡となります。

「起因」と「基因」の違い

「基因」と似た言葉に「起因」があります。漢和辞典には「起因」とは、ものごとが現在の状態になったもと、起こり、「基因」とは、原因、ことの起こり、とあります。多くの場合、「起因」と「基因」は、同義語として解説されており、報道記事も「起因」に統一されています。しかし、譲渡所得の場合は、「基因となる資産の譲渡」のように「基因」が使用されています。

省庁によっては異なる使用法

ところで、行政では「起因」と「基因」で異なる使われ方が見られます。

災害や傷病に関する記述では、法務省のサイトに、「東日本大震災等に起因する人権侵害」、厚労省のサイトには、「労災の業務起因性」など、「起因」が使われます。

一方、国税庁のサイトで災害や傷病に関する記述を見ると、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例で住宅の取得期限や居住開始期限の1年延長を認める「災害に基因するやむを得ない事情」や、「自己の身体の傷害に基因して支払を受ける非課税の高度障害保険金」など、「基因」が使われます。

同じ災害や疾病に関する取扱いでも、法務省や厚労省は「起因」、国税庁は「基因」。税金に関することは「基因」を使用すると思われます。

他にも、まだある使用法の違い

内閣府では、SNSで児童が受けた被害の報告書に「SNSに起因する」と表現しています。一方、国税庁では、詐欺行為であっても、その「収入の基因となった行為が適法であるかを問わずに課税する」と表現しており、課税する場合は、やはり「基因」になります。

報道記事の「起因」と税金に関する「基因」の使用の違いに注意していれば、まだまだ他にも発見があるかもしれません。

~個人事業を検討している方へ~ 「開業費」について

個人で事業を始めた場合、税務署に、開業後1か月以内に開業年月日を記載した「個人事業の開業届出書」を提出する必要があります。

しかし、開業日から事業活動がスタートするというわけではありません。開業するまでには、その準備段階から開業に向けて様々な支出が発生することになります。

 

具体的にどのようなものがあるか

開業までの広告宣伝費、旅費、接待交際費、給料賃金、土地、建物などの賃貸料、開業準備のために特に借り入れた借入金の利子などの支出があります。

 

開業費は資産 任意償却による節税効果

開業費は繰延資産に該当しますので、償却費として計算された額が必要経費になります。その計算方法は60か月の均等償却のほか、任意償却による方法が認められています。その場合、開業の年分に全額償却しても、全く償却しなくてもよいのです。60か月を経過した場合に償却費を必要経費にできないとする規定はありませんから、開業費の未償却残高はいつでも償却費として必要経費にすることができます。

任意償却を採用した場合は、経費として計上する時期に注意が必要です。例えば、開業後利益が上がらず赤字になったり、利益があったとしても所得控除によって所得税が発生しない場合などに、開業費の償却費を計上してもその効果は期待できません。相応の利益が発生したときに経費計上することによってこそ、その節税効果があるといえます。

 

開業費とした根拠、証拠を明確に

それでは、どこまでの支出が開業費として捉えられるかですが、本人が「これは開業費になる」と主観的に判断されたとしても、客観的に証明できる取引の記録やその基となる資料(領収書や請求書など)の保存が必ず必要となります。ある支出が開業費に該当するかは、客観的に見てその支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行に必要なものに限られるのです。これは、開業後の必要経費についても同様です。

開業費を含む必要経費の考え方については、自己解釈せずきちんと会計事務所に相談して、後々トラブルにならないようにしてください。

老人ホームへの入居と 税法特例の適用の可否

老人ホーム入居後自宅売却

居住用家屋を空き家にして夫婦で老人ホームに入居したケースで、入居後に、居住用不動産の所有者だった夫がそれを売却したときは、入居から3年経過後の年末までなら居住用財産譲渡の3000万円特別控除の特例の適用があります。その間の建物の用途は問われません。親族に使用させていても構わないし、貸家として第三者に賃貸していても可です。

相続配偶者の小規模特例適用と売却

老人ホームで夫が亡くなり、配偶者が空き家のままだった自宅を相続する場合には、相続税の小規模宅地の減額特例は、取得者が配偶者であるため無条件に適用できます。その後、その配偶者が老人ホームに入居継続のまま相続した自宅を譲渡した場合には、居住用財産譲渡の3000万円特別控除の特例は適用できません。最高裁判例が「所有者として居住の用に供していたことがない」とこの特例の適用は出来ないとしているためです。事前に配偶者への居住用財産の2000万円非課税贈与を適宜な時期にしていたら、よかったところです。

相続配偶者の空き家特例適用の要件①②

それではこの場合、相続空き家譲渡の3000万円特別控除の適用は、どうでしょうか。こちらについては、相続開始時の被相続人の居住用という要件①については、要介護認定等を受けての老人ホームへの入居の場合なら、その入居時において居住用であることを要件充足としているので、これはクリヤーできそうです。でも、もう一つ、老人ホーム入居直前の独居状況も要件②としているので、夫婦一緒での入居の場合は適用となりません。

「家なき子」相続の場合の小規模特例適用

また、この譲渡を実行せず、そのままこの配偶者が老人ホームで亡くなった場合、次の子供達への相続で、「家なき子」の要件を充足する相続人がいたとして、その者が相続した時は、小規模宅地の特例の適用は可能でしょうか。被相続人は、老人ホーム入居直前に於いて居住用に利用していましたものの、その時は所有者ではありませんでしたが、この場合の判定の結果は、適用可です。所有者であることを前提とする法令上の要件規定や先行判例が無いためです。東京国税局の文書回答事例でこれを是とする見解がネット上で公開されています。

利益の資本組入れを していた過去の記録

増資のために利益を使う

資本金100万円の会社が増資して1000万円にしようとする場合、利益剰余金を資本に組入れるという方法があり、<利益剰余金900/資本金900>という仕訳になります。ただし、税務上は、株主出資部分の資本金等の額と会社稼得利益の利益積立金額とは明確に区分されていますので、利益剰余金の資本組入れを行った場合でも、資本金等の額と利益積立金額に変化はなく、資本金等の額は、増資後であっても100万円のままで、利益積立金額も同じままです。

以前は違う取扱いだった

この様に扱われることになったのは、平成13年の税制改正からで、この改正後の別表五(一)は、利益積立金だけの明細書ではなく資本積立金の明細書にもなりました。

この改正前までは、利益剰余金を資本に組入れると配当可能利益を一旦金銭で分配し、ここで20%のみなし配当課税が行なわれ、しかる後にみなし金銭出資で増資したものと考えられていました。

最低資本金制度への対応の利益組入れ

なお、利益の資本組入れに係るみなし配当課税についても例外があります。平成3年に商法が最低資本金制度を導入し、5年以内に資本金を1千万円(有限会社は300万円)以上にするべきとしました。この時、税法は、この5年間に利益の資本組入れをしても、最低資本金に達するまでの金額に係るみなし配当に対して、これを非課税とするという特例を設けました。

非課税とは課税繰延べ

ただし、課税みなし配当でのみなし金銭出資なら、その出資額は株式の取得価額を構成しますが、非課税みなし配当でのみなし金銭出資については、株式の取得価額を構成しないとされました。みなし配当非課税の意味は、その株式の将来の譲渡時に譲渡所得課税で取り返すので、それ迄の課税繰延べ、ということだったのです。

課税繰延べ実現時に注意

M&Aでの株式譲渡、会社解散、資本の分配などにより、株式の譲渡所得の計算をすることとなるときには、この課税繰延べの履歴が関係することになります。しかし、最低資本金制度の非課税特例の適用を受けていたかどうかは、法人税の申告書や決算書をみても判別できません。平成3年4月~平成8年3月の間に最低資本金までの増資をしている場合は、その可能性が高いと言えます。