100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.43

2021.06.18 Fri

結婚・子育て資金贈与の非課税

制度概要

結婚子育て資金の一括贈与制度は、直系尊属である父母、祖父母から子・孫に結婚・出産・育児の費用を非課税で贈与できる租税特別措置法の制度です。20歳以上50歳未満の受贈者を対象に最大で1000万円(結婚費用は最大300万円)までの贈与が非課税になります。非課税の対象となる費目については、内閣府HPに掲載されています。

平成31年改正で受贈者は、前年分の合計所得金額が1000万円以下に制限されました。令和3年度は次の改正があり、令和5年3月31日まで2年間、延長されました。

贈与者死亡時、孫への贈与は2割加算に

贈与者が死亡した日までの贈与額(非課税拠出額)のうち、結婚・出産・育児に使用した金額(結婚・子育て資金支出額)を控除した未使用分(管理残額)は相続税の課税対象となっていましたが、新たに令和3年4月1日以降の孫への贈与は、配偶者および一親等の血族以外(代襲相続人である孫・孫養子を除く)への贈与に適用される、相続税額の2割加算の対象となりました。世代間の資産移転を促進する非課税贈与として創設された制度は、相続税法の取扱いがさらに適用され、利用しにくくなりました。

認可外保育施設も非課税の対象になります

非課税の対象となる育児費用の範囲に、新たに1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事などから認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書を交付された施設に対する保育料の贈与も対象となりました。証明書を交付された施設のリストをHPで公開している自治体もあります。

非課税申告書は電子提出も可

この制度の適用を受けるため、取扱金融機関を経由して提出する非課税申告書は、令和3年4月1日より、電磁的方法によっても提出できるようになっています。

生活資金の贈与はそもそも非課税です

ところで結婚・子育て資金一括贈与の制度を利用しなくても、相続税法では、もともと夫婦、親子、兄弟姉妹などの扶養義務者からの生活費や教育費に充てるための贈与は非課税とされています。結婚・出産・育児の費用を都度、贈与する、贈与額はすべて使いきる、結婚式披露宴の費用は、双方で費用を分担する、贈与者の送金履歴、受贈者の支払記録を残すなど備えをしておきましょう。

介護保険料徴収のルール

40歳になったら介護保険料徴収

介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。保険料は公費と65歳以上の第1号被保険者、40歳から64歳までの医療保険に加入している第2号被保険者からの介護保険料で支えられています。

健康保険の被保険者であり市区町村に居住している40歳から64歳までの第2号被保険者の方は健康保険料とともに納めます。

介護保険料は、40歳に達したときから徴収が始まります。40歳に達した日は40歳の誕生日の前日です。その日が属する月から保険料が徴収されます。社会保険料の天引きは、当月支払いの給与から控除できるのは前月分となっている(例外として月末退社の場合は2か月徴収可)ので、毎月の給与から徴収する介護保険料の天引きは健康保険料と同様の扱いになります。徴収の終了は65歳に達する月の属する月の前月分までです。

賞与を支払ったときは徴収対象になる

介護保険料は賞与からも徴収します。

例えば40歳に到達する前に賞与が支払われた後、同月に40歳に到達したときは40歳に到達した月から徴収するので天引きしておかなくてはなりません。

反対に65歳になると第1号被保険者になるので、介護保険料は65歳に達した日の属する月の前月分まで給与から天引きします。65歳に達した日の属する月分は年金からの徴収です。つまり65歳に達した月は給与から徴収しません。賞与に対しても同様なので65歳に達した月に賞与が支給されても徴収はありません。

被扶養者が40歳の場合どうなるのか

健康保険と同様に扶養家族が40歳になっても介護保険料は徴収しません(国保は各人ごとに徴収される)。

健康保険組合によっては健康保険の第2号被保険者でない場合でも、被扶養者が40歳以上で第2号被保険者である場合は健康保険料と一緒に介護保険料を徴収する組合もあります。

IT化との違い、わかりますか? DXって何のこと?

デラックスではございません

去年あたりからインターネットや書籍等で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を目にする機会が多くなりました。「なんかデジタル通信とかパソコンとかでアレするやつでしょ」という認識の方も多いのではないでしょうか。

そもそも広義のDXとはスウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が2004年に提唱した「デジタル技術が人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。ビジネスでDXと言う場合は、大まかには「AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織体制を抜本的に改革することで、競争優位性の確立や外部環境への適応を目指す」という意味になります。

以前の「IT化」は業務効率化やコスト削減を目的としたIT・デジタル技術の導入のことです。DXはさらに会社運営へ踏み込み、デジタル技術を手段としてビジネスモデルや組織など、より広い範囲の変革を促すものとなります。

DX投資促進税制が誕生した背景

国は令和3年度税制改正で「DX投資促進税制」を創設し、民間のDX化の後押しを行っています。

経済産業省の報告によると、今のままでは「IT人材の不足」と「古い基幹系システム」の2つが障害となり、2025年から2030年までの間に、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとしています。この損失はもとより、世界との競争力を維持するためDXが当たり前となる「ポストデジタル時代」に乗り遅れるのは致命的と考えているようです。

認定されれば税額控除or特別償却

DX投資促進税制では、データ連携(共有)・レガシー回避・サイバーセキュリティ・ビジネスモデル変革・全社戦略等の要件を満たす計画が認定されれば、その計画に基づいて行う設備投資のうち、ソフトウェア・繰延資産・機械装置・器具備品について、税額控除や特別償却が受けられる制度です。

「あまりデジタルに関係のない分野だから」とこの手の話題を避けてきた方もいらっしゃるかと思いますが、この機会に一度検討してみてはいかがでしょうか。

採用媒体や求人方法の変遷

採用媒体の歴史

現在の求人形態はいつ始まったのでしょう。日本では明治時代、1872年7月14日の新聞掲載が始まりで「乳母」の求人だったようです。

そこから90年ほど後の1962年に、大学新卒向けの求人情報誌が大学新聞広告社(現在のリクルート)から創刊されます。このころは新聞が隆盛を誇り新聞広告(三行広告)の求人欄が力を持っていた時代でした。15年後の1980年代には求人雑誌やフリーペーパーが登場してきます。コンビニや駅の冊子ラックにありましたが最近では少なくなってきました。

1990年代になるとインターネットの発達とともにWebサイト求人がスタートします。求人サービスのWebページへ求職者が見に行くスタイルです。

2000年代はWeb求人全盛期。リクナビNEXTやマイナビ、バイトルやビズリーチなど何種類ものサービスが稼働しています。

2010年代から現在は数千のウェブサイトを巡回して求人情報を収集する検索エンジン型が出現し、検索エンジンの雄Googleが2019年1月より日本で求人情報の提供を開始しています。Webが当たり前の現代、求人もWebで行わなければならない時代になったと言えそうです。

時代はお金をかけるだけの求人から変化

採用と言えば、求人媒体に広告を出し、紹介会社に依頼し、自社ではハローワークに出してというのがスタンダードと思われているかもしれません。採用は社長や人事部だけのことでなく、多くの社員の協力も必要です。ひとつは社内SNSなどの活用があります。社内コミュニケーションを活発化させ日常で起きたことなどをシェアし、社員が会社に目が行くようになると知人に自社を紹介したくなる等、採用を会社全体で考えていける自社らしい採用になるでしょう。採用活動を通して会社の良さを社外に伝えていくことで自社のブランニング強化、事業促進にもつながります。SNSの広がりで応募者も気になる会社の情報を知ることができ、会社側も欲しい人材にダイレクトにオファーすることができるようになります。紹介会社に丸投げし、広告を出すだけの採用は費用がかかるものの理想的なマッチングからは遠ざかる傾向にあります。

認定経営革新等支援機関 への税理士の登場と期待

認定経営革新等支援機関とは

中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、2012年8月30日に現在の「中小企業等経営強化法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。これは、経済産業省のホームページに掲載されている、冒頭の文章です。

事業再構築補助金の申請では

事業再構築補助金の場合では、認定経営革新等支援機関と相談して事業計画を策定し、事業実施段階でのアドバイスやフォローアップを行うこととされています。

最近までの登録状況

2012年11月5日に2,102件の第1号機関認定があり、2021年4月30日に1,132件の第67号機関認定があり、合計35,221機関が認定されています。登録申請は、初めほどの勢いではないものの、いま再び増えています。

認定機関のうち、個人税理士は20,670機関認定、税理士法人は4,860機関認定、公認会計士は2,501機関認定、監査法人87期間認定と、税務に関連する事業者の割合が高く、80%を占めています。79,280人の税理士登録者数のうちの26%、税理士法人事務所数6,709のうちの72%が認定を受けています。

認定機関の介入を要件とするもの

コロナ関連の助成金申請では、この認定機関の関与の要件が緩和されていましたが、今後の経済産業省関連の産業政策・税制の適用要件では、認定機関の関与を必要不可欠とする傾向が強くなりそうです。

今年の税制改正で4月1日施行にならずに、産業競争力強化法等の改正法の施行日待ちになったものが、租税特別措置法の単体法人向けの改正条文に絞った中だけでも条文数で32もありました。中小企業経営強化税制、所得拡大促進税制、70%損金算入のM&A促進税制などなど、産業競争力強化法等での事業者の認定や計画の認定が改正税法の適用の要件になっているためです。