100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.3

2020.09.04 Fri

新型コロナウイルス感染症に対応した医療従事者に慰労金を交付

新型コロナウイルス感染症の拡大防止・収束に向け、医療機関の医療従事者や職員の方々は心身に大きな負担がかかる業務を続けられています。このような方々に対し、慰労金が支給されることとなりました。

慰労金の内容

重点医療機関、新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れる医療機関、帰国者・接触者外来設置医療機関、PCR検査センター等、都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務し患者と接する医療従事者や職員の場合は10~20万円給付されます。

その他病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所に勤務し患者と接する医療従事者や職員の場合は5万円給付されます。

受給対象者の範囲

対象期間(当該都道府県における新型コロナウイルス感染症患者1例目発生日又は受入日のいずれか早い日から6月30日までの間)に10日以上勤務した「患者と接する」医療従事者等が対象となります。

病棟や外来などの診療部門で患者の診療に従事したり、受付、会計等窓口対応を行う職員が該当するのはもちろん、診療には直接携わらないものの、医療機関内の様々な部門で患者に何らかの応対を行う職員等も、医療機関における勤務実態等に応じて該当する場合があります。

また、医療従事者や職員には、医療機関等に直接雇用される職員のほか、派遣労働者、業務委託受託者の従事者も含まれ、資格や職種による限定はなく、事務職なども対象となります。

申請方法

原則として、医療機関等が医療従事者等から委任を受けて代理申請・受領を行い、医療機関等から医療従事者等に給付します。申請書は各都道府県の国民健康保険団体連合会にオンラインにより提出します。申請受付期間は毎月15日から月末までの間です。

慰労金の税務上の取り扱い

この事業により給付される慰労金は非課税となり、源泉徴収も必要ありません。

浸水被害への備え -中小企業の防災対策と税制・助成金-

浸水リスクを認識し、被害を想定する

最近の豪雨災害による被災状況は目を覆うばかりです。令和2年7月豪雨は、特定非常災害の指定が閣議決定されました。

事業継続のため河川の氾濫などによる浸水被害リスクを認識し、これまでの常識にとらわれることなく備えることが求められています。自治体のHPでは、地域ごとにハザードマップを公開しており、洪水や高潮による自社の浸水リスクを視覚的に把握し、被害を想定することができます。過去の被災記録、被災土地の形状も有用な情報です。

事前に講じるリスク対策

浸水が発生する前の現実的な対策として、次のものが検討できます。

①  保険の付保(水災保証)

②  電源装置、サーバーの階上への移設

③  データのクラウド保存

④  防災・復旧のための設備投資(発電設備、止水板、排水ポンプなど)など

防災のための税制・助成金を活用する

自然災害に備える中小企業者を支援する公的な措置には、次のものがあります。

①  中小企業防災・減災投資促進税制(中小企業庁)

中小企業経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けて防災・減災設備を取得した中小企業者には、事業供用年度にて取得価額の20%の特別償却ができる措置が設けられています。

機械・装置(100万円以上)、器具・備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)。自家発電設備や排水ポンプ、止水板、防水シャッターなどの取得が対象です。

② BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社)

東京都が、自然災害や感染症による不測の事態に備えてBCP(事業継続計画)を実践する都内に本社を置く中小企業者に対し助成金を交付する制度です。 BCPの実践に必要な設備・物品の購入・設置費用として上限1,500万円の助成金が交付されます。

BCPの実効性を高めるために

災害発生直前まで、気象庁の発表するリアルタイム情報やタイムラインを活用して被害を最小にとどめる措置を講じます。災害発生前の備えにより、社員の安全確保、設備・データの保全につなげましょう。

令和2年秋 雇用保険の最新情報!

失業保険の給付制限緩和

失業保険とは、雇用保険制度に基づいた求職者給付の基本手当のことで、会社を退職し転職活動を行う際に受給することができます。この雇用保険の基本手当は、失業手当や失業給付などと呼ばれることもあります。

これまで、会社を自己都合で退職した場合、基本手当の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から3か月間は、基本手当を受給できない期間がありました。これを「給付制限」といいます。

この度、令和2年10月1日以降に離職した労働者は5年間のうち2回まで、給付制限が2か月に短縮されることになりました。

給付制限期間が短すぎると、安易な離職を生み出すという懸念もありますが、本来失業給付は、「失業」または「離職」した労働者に対し、生活の保障と再就職の援助を行うための制度なので、要件緩和により、受給者が早期に生活の安定を図ることができると期待されています。

新型コロナによる退職の特例

私たちの生活に多大な影響を及ぼしている新型コロナウイルスですが、この影響により自己都合離職をした場合は、「特定理由離職者」とされ、正当な理由のある自己都合離職として給付制限を適用しないこととなっています。

令和2年2月25日以降に、以下の理由で離職をした労働者が対象となります。

①同居家族の感染等で看護が必要となった

②本人や同居家族に基礎疾患がある、妊娠中または高齢で、感染拡大防止や重症化防止のため

③保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校等に通う子の看護が必要となった

コロナ退職の失業給付日数延長特例

新型コロナウイルスの影響で離職した労働者のうち、令和2年6月12日以後に基本手当の所定給付日数を受け終わる者を対象に、最大で60日間、雇用保険の基本手当給付日数が延長されます。

離職日が緊急事態宣言発令以前と、緊急事態宣言発令期間中、緊急事態宣言全国解除後で対象者の範囲が異なります。緊急事態宣言発令後の離職は、特定受給資格者と特定理由離職者が本件の対象となります。

働き方改革や新型コロナの影響で、失業給付制度は少しずつ変化しています。対象者となる方に伝えてあげたいですね。

起業時の法人銀行口座開設のハードルと事前準備

年々高くなる法人銀行口座開設のハードル

警察庁の発表では、令和元年の特殊詐欺の認知件数は16,851件(-993件、-5.6%)、被害額は315.8億円(-67.0億円、-17.5%)で、前年に引き続き認知件数、被害額ともに減少しているが、依然として高い水準の被害が発生していることから、深刻な情勢です。こうした特殊詐欺に実体のない法人銀行口座が使われることが多いことから、銀行での法人口座開設のハードル(=準備すべき書類、事業実態の実在性など)は年々高くなっています。

起業時に法人口座開設で躓かないために

口座開設ができなければ、顧客や取引先から「銀行から認められていない存在」との烙印が押され、事業は立ち行きません。

法人の設立(=会社を作ること)も暴力団対策法等で株式会社の定款認証が厳しくなってきていますが、さらに会社と事業の実在性を示さなければならないのが口座開設時です。銀行により審査基準は違いますが、次のような準備をしておくことで法人口座開設を乗り切ることができます。

(1)資本金はある程度必要

資本金は1円から会社設立ができますが少な過ぎると事業実態がないとみなされます。事業遂行可能な金額が必要です。

(2)事業実態のある場所が必要

繁華街の住所表示目的でバーチャルオフィスを本店にすると、実在性なしとされる可能性が高くなります。銀行から訪問調査されても対応できる場所が求められます。

(3)事業実態説明の事業計画書を準備

事業実態の実在性を示すために、締結済みの顧客との売買契約書(=複数が望ましい)などを示すことができればベターです。まだそうした証拠を示すことができない場合には、少なくとも、銀行に実現可能性を納得してもらえるだけの事業計画書を準備しておきましょう。

(注)他に登記簿謄本原本等が各種必要。

法人の所有者が外国法人の場合

法人の株主が非居住者(=外国法人・国外在住者)の場合には、提出書類が増えます。親会社の上にさらに親会社がある場合などには、実質的支配者の本人確認資料(=パスポートの写し、公的機関発行の会社登記・居住者証明書など)も必要となります。

なお、2016年10月に政府が対日直接投資推進目的に金融庁経由で3メガバンクに態勢整備を要請し窓口はできていますが、審査体制(必要書類)に優遇はありません。

提出しないことの多い届出書

相互に確認し合うための届出書

消費税の届出書の中には、課税関係に影響のない、納税者と税務署とが相互に確認し合うためだけに提出が要求されているものがあります。

消費税課税事業者届出書(基準期間用)、消費税課税事業者届出書(特定期間用)、消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書、消費税の新設法人に該当する旨の届出書、高額特定資産の取得に係る課税事業者である旨の届出書、などがそれです。

分かりきったものの提出を求める形式論か

これらの届出書による税務署との相互確認の内容は、消費税の申告書の提出義務者に該当することになった、あるいは、消費税の申告書の提出義務者に該当しないことになった、という事実についてです。

消費税申告書記載の課税売上高が1000万円以下だったら、課税事業者選択でもない限り、翌々年は免税事業者になり、納税義務者でなくなるはずだ、そんな分かりきった届出など必要ないではないか、との意見も出そうです。

税務署には情報がないため

消費税の新設法人に該当する旨の届出書については、通達で、法人設立届で所要の事項の記載があれば、それだけでよし、としています。したがって、形式論で要求しているのではなく、事実の正確な把握には、税務署の持つ情報だけでは、必ずしも確定的な結論が得られるとは限らないので、情報を有している納税者に判断を求めている、ということ、と考えられます。

基準期間課税売上高が1000万円以下でも、高額特定資産の取得をしたとか、前期間の前半で1000万円超の課税売上があったとかで、免税事業者非該当となることもあり、これらは税務署にない情報です。

免税事業者が還付申告

消費税還付申告をした後、還付保留状態で税務調査があり、当該課税期間は課税事業者に該当しないので還付申告ができない旨の指摘を受けたものの、還付申告は受理されたまま修正申告書の提出を慫慂され、過少申告加算税が賦課された、という事例があります。

税務署サイドも、納税義務があるかの如く、消費税の納税申告書を送って来ていた、のかもしれません。当局の対応の是非はともかく、形式的な手続きながら、疎かにしていると火傷する、という事例です。