100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.23

2021.01.29 Fri

緊急事態宣言の再発令を受けた 各種支援措置等

緊急事態宣言が再発令され、新型ウイルスとの戦いは長期戦になりそうです。このため、各種の支援措置が延長・リニューアル等されています。

持続化給付金・家賃支援給付金の延長

持続化給付金及び家賃支援給付金の申請期限が2月15日まで延長されます。1月末までに申し込めば、2月15日まで書類の提出が認められます。

雇用調整助成金の特例措置の延長

令和2年12月31日までを期限に雇用調整助成金の特例措置が講じられてきたところですが、現在の雇用情勢を鑑み、この特例措置を令和3年2月28日まで延長することが既に決まっています。

中小事業者に対する一時金

緊急事態宣言の影響を受ける事業者で売上げが50%以上減少した中堅・中小事業者に対し、法人は最大40万円、個人事業者は同20万円の一時金が支給されます。一時金支給の対象者は、(1)緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接・間接の取引がある農業者・漁業者、飲食料品・割り箸・おしぼりなどの供給者、(2)不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けた旅館、土産物屋、観光施設、タクシー事業者などが想定されています。

イベント関連の対応措置

今回の緊急事態宣言に伴うイベント開催制限や施設利用に関する協力依頼により、音楽や演劇等のイベント(展示会を含む)等が中止となる恐れがある、又は中止になったにもかかわらず発生してしまった経費がある場合、その費用の一部について支援されます。

時短要請の中小事業者に対する協力金

東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡の11都府県では、2月7日までの緊急事態措置期間中に営業時間短縮要請に協力する飲食店に対して協力金が支給されます。支給額は1店舗当たり1日6万円です。申請方法や申請受付開始時期・期限などは各都府県で異なるので、それぞれ確認しましょう。

贈与税の配偶者控除と登記

居住用不動産を贈与したときの配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除(配偶者控除)できます。

この特例の適用を受けるには贈与税の申告書と次の書面の提出が必要です。

①贈与日後10日経過後の戸籍謄本・抄本

②同戸籍の附票の写し

③居住用不動産の登記事項証明書等

店舗兼住宅の持分贈与を受けた場合

店舗兼住宅について、例えば居住用部分の50%の贈与をしたとして、登記面ではそれが全体の25%の持分贈与と表記されたとしても、居住用部分のみの贈与と扱われることになっています。

また、居住用部分がおおむね90%以上の場合は全て居住用不動産として扱うことができます。

居住用不動産贈与と相続税の扱い

配偶者控除適用居住用贈与不動産は、相続開始前3年内贈与加算の対象外です。

また、その贈与が相続開始年になされた場合は、その居住用不動産のうち、贈与税の配偶者控除があるものと仮定して控除される部分は、相続税の課税価格に加算されず、相続税の対象となりません。

所有権移転登記は要件か?

贈与の対象となった居住用不動産の登記事項証明書の添付は、この贈与税の配偶者控除特例の適用要件でした。でも、贈与による所有権移転登記そのものは、適用要件ではありません。

それで、平成28年に、贈与による居住用不動産取得の事実が確認できる書類を添付する事に省令改正されました。登記事項証明書は、その事実確認書類の一つの例示例となっています。

登記を要件にできない色々な理由がある

登記には第三者対抗要件はあるものの、義務ではなく、任意なので、税法の適用要件に登記を義務づけることは憚られるのだと思われます。

それに、店舗兼住宅での登記のように、居住部分のみの登記は受け付けられないし、大きな敷地の一部の居住部分の贈与の場合、分筆等が必要となる場合などを考慮すると、測量費なども含め、登記費用負担が居住用不動産贈与の特例適用の妨害要因になってしまうからなのだと思われます。

働き方改革について今年度内に行うこと

「⑩のチェックシート」で確認を

日本商工会議所は「中小企業のための働き方改革⑩のチェックシート」(https://www.jcci.or.jp/20201111_checksheetjcci.pdf)を作成しました。これは、2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法について、対応状況を確認するためのツールです。

大きくわけて、以下の3つが対象です。

①  時間外労働の上限規制

②  年次有給休暇の取得義務化

③  同一労働同一賃金

①と②については、すでに中小企業も適用対象となっているため、制度としては導入されていると思いますが、実際の運用状況についてはいかがでしょうか。労働時間が上限ぎりぎりになっていないか、有給休暇を年度内に5日取得できそうか、勤務表を確認し、必要に応じて業務量の調整を行いましょう。

より改善を行うためには、厚生労働省の診断ツールがあります。同じ業種の他社との比較分析や、参考事例の入手もできますので、活用してみましょう。(「働き方・休み方改善指標」を用いた自己診断 | 働き方・休み方改善ポータルサイト (mhlw.go.jp)

同一労働同一賃金の対応

一方で、③同一労働同一賃金の対応はいかがでしょうか。

中小企業への適用は2021年4月からスタートしますが、日本商工会議所の10月の調査では、中小企業のおよそ半数について、準備が進んでいないという結果がでています。その大きな要因としては「わかりづらさ」があげられています。様々なセミナーも開催されていますが、まだ対応ができていないという場合には、「同一労働同一賃金まるわかりBOOK」(roudoubook.pdf (tokyo-cci.or.jp))に目を通してみましょう。厚生労働省のガイドラインや2020年10月に出された最高裁判所の判決も踏まえながら、具体的な対応策が各待遇・手当ごとに整理されています。助成金や支援ツールの情報も確認できます。

日本商工会議所は、印刷したガイドブックをセミナーや全国各地の商工会議所窓口、経営指導員による巡回指導等で配布するとのことです。

テレワークの労務管理上の課題

テレワークを実施している割合は?

内閣府が2020年6月に公表した調査によると、全国でテレワークを経験した人の割合は34.6%でした。テレワークは以前からありますが、コロナ禍でより身近な働き方になったと感じる人も多いのではないでしょうか? 調査ではテレワークの導入率が「ほぼ100%」は全体の10.5%、感染者の多い東京23区では20%以上という高い割合です。「50%以上」の働き方も11%と約1割あります。東京都では昨年12月の実施率が15.7%であったものが、2020年4月では49.1%が実施、2.5倍に増えています。実施が多い業種は、1.教育・学習支援、2.金融、保険、不動産業、3.卸売業、4.製造業です。

テレワークの実施率は業種別、雇用形態別、地域別で大きく異なっています。

労務管理上の課題

テレワークを実施していない企業から上がってくる意見は「適した業務がない」「セキュリティー上のリスク」「インフラ整備の問題」などがあります。他には次に上げるような意見もありました。

①「部下が本当に集中して働いているか」

不安に感じる上司の一方で働く側は「サボっているとは思われたくない、業務に集中するあまり長時間労働となってしまう」という回答もあります。一部に多少サボっている人がいるとしても、テレワーク中の全員を監視するようなことは働く意欲をなくしてしまいます。会社と社員で認識を統一して、制度がきちんと運営される土台を作ることが大切です。

②労働時間の把握が難しい

在宅勤務中にも出社時と同じ労働時間管理をしている企業は8割ありますが、電話、メールで始業・終業に連絡、クラウド上の勤怠システム、パソコンのログ、日報などの報告があります。本人の都合で時間をずらして働くときは事前・事後に申請させるなどして実態を把握しましょう。

③コミュニケーションがとりにくい

コミュニケーション手段は主にメール、チャット、WEB会議、電話等になりますが、対面よりは簡潔な表現にならざるを得ないので情報共有漏れが出ないともかぎりません。在宅勤務は孤独感や相談相手がいない等、精神面でのフォローも必要不可欠です。

持続化給付金など申請期限を延長 課税される助成金と計上時期

新型コロナウイルスの影響により様々な助成金等を受け取る機会がありました。それぞれの課税上の取り扱いを整理します。

非課税とされる助成金等

以下の助成金は所得税の非課税として取り扱われます。

・特別定額給付金

・子育て世代への臨時特別給付金

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

・学生支援緊急給付金

・低所得ひとり親世帯への臨時特別給付金

・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金

・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の割引券及び助成

課税される助成金とその計上時期

以下の助成金は課税され、原則的には支給の決定した時(権利の確定時)に収入を計上します。給与や家賃など特定の経費を補填する性格の助成金は、基本通達の取扱に準じて、必要な手続きをしているときはその経費の発生年度に計上することとなります。また、Go Toキャンペーンによる給付金やポイントは、そのサービスを受けたときやポイントの使用時に収入計上します。

(1)支給決定時に計上するもの

・持続化給付金

・地方自治体の感染拡大防止協力金

持続化給付金については、①令和2年12月に申請したが支給決定の通知が来ていないもの、②令和3年に申請を行ったものは令和3年以後の収入となります。

(2)支給決定時又は経費発生時に計上するもの

・雇用調整助成金

・小学校休業対応助成金

・家賃支援給付金

・小規模事業者持続化補助金

・経営継続補助金(農林漁業者向け)

・感染拡大防止等支援事業の補助金

(医療機関等向け)

(3)ポイント・クーポン使用時に計上するもの

・Go To トラベル事業の給付金

・Go To イート事業の給付金

・Go To イベント事業の給付金