100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.20

2021.01.08 Fri

令和2年度補正予算の超目玉!? (仮)事業再構築補助金

事業目的・概要

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業・業種転換等の取組や、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。

また、事業再構築を通じて中小企業等が事業規模を拡大し中堅企業に成長することや、海外展開を強化し市場の新規開拓を行うことが特に重要であることから、本事業ではこれらを志向する企業をより一層強力に支援します。本事業では、中小企業等と認定支援機関や金融機関が共同で事業計画を策定し、両者が連携し一体となって取り組む事業再構築を支援します。

成果目標

事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加を目指します。

補助対象要件

①申請前の直近6カ月間のうち、売上高が低い3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。

②自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定した中小企業等。

補助金額・補助率

中小企業(通常枠)

100万円以上6,000万円以下 2/3

中小企業(卒業枠)

6,000万円超~1億円以下 2/3

中堅企業(通常枠)

100万円以上8,000万円以下 1/2(4,000万円超は1/3)

※令和3年の初めには正式に決定します。

アフターコロナを見据えた際に、既存事業では厳しいと感じている経営者様は是非ともご検討ください。

年金手帳が廃止されます (令和4年4月~)

年金制度機能強化法の改正

令和2年6月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(以下、「年金制度機能強化法」)が公布されました。

今回の年金制度機能強化法の改正では、被保険者の適用範囲の拡大、在職定時改定の導入、受給開始時期の選択肢の拡充、確定拠出年金の加入要件の拡大などが主な内容ですが、その他として、年金手帳の廃止(新規発行停止)も盛り込まれています。

 

年金手帳の様式

年金手帳は、加入時期によって様式が異なることをご存じでしょうか?

昭和49年9月以前
厚生年金

被保険者証
カード

昭和49年10月~平成8年12月
年金手帳

橙色の手帳

平成9年1月以降
年金手帳

青色の手帳

なお、国民年金の被保険者証は、昭和49年10月以降、厚生年金と共通化されており、年金手帳が発行されています。

なぜ年金手帳が廃止になるのか?

これまで、年金手帳は、国民年金および厚生年金の被保険者証として、保険料納付の証明や基礎年金番号の本人通知等に利用されてきました。

しかし、現在では被保険者情報はシステムで管理されており、個人番号(マイナンバー)の導入によって、手帳の形式をとる必要性が低下したことで、業務効率化の一環として廃止されることになりました。

 

年金手帳廃止後は?

令和4年4月以降、新たに国民年金の1~3号被保険者となる方には、年金手帳の交付に代わり、「基礎年金番号通知書」(様式は検討中)が送付されることになります。

なお、従来の年金手帳は、引き続き基礎年金番号を明らかにする書類として利用できます。ただし、年金手帳の再交付はされませんので、紛失した場合は「基礎年金番号通知書」が発行されることになります。

地積規模大の宅地の評価

広大地補正率から規模格差補正率に

「広大地の評価」から「地積規模の大きな宅地の評価」に変わり、2年以上が経過しました。変更時は、大きな話題となり、専門誌にも何度も採り上げられましたが、再度、復習してみたいと思います。

制度の趣旨は開発分譲だけではない

大規模な土地を戸建住宅用地として開発分譲する場合に、主に面積が大きいことにより、道路や公園などの公共的用地の負担が生じるため、路線価に面積を乗ずるだけでは、過大評価になってしまいます。

そういう不合理評価の是正も規模格差補正率の趣旨の中にありますが、開発行為は必ずしも前提になってはいません。

マンション1室所有でも適用可

マンションやオフィスビルといった区分所有建物の1室、1区画を所有している場合においても、そのマンション等の敷地全体で地積要件ほかを判定して要件充足なら適用になります。

そのマンション1室に係る敷地が小規模宅地特例の「特定居住用宅地等」に該当すれば、規模格差補正率の要件はマンションの敷地全体で判定し、小規模宅地特例の限度面積は所有マンション1室に対する敷地面積で判定します。

倍率地域、市街地農地・山林・原野にも

「地積規模の大きな宅地」の要件に該当するのであれば、倍率方式により評価する地域、市街化区域内に存する市街地農地、市街地山林、市街地原野などであっても、規模格差補正率の適用はあります。

これらの場合の計算としては、近傍の固定資産税路線価㎡単価に倍率を乗じ、奥行価格補正率、規模格差補正率等を面積に乗じて算出します。この金額が、倍率評価額よりも低い金額の場合に適用となります。

規模格差補正率の適用要件

土地面積が1000㎡(三大都市圏の場合500㎡)以上で、対象外地域(市街化調整区域・工業専用地域・大規模工場用地)ではなく、指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)未満の宅地であることが、適用要件です。

規模格差補正率は、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率を乗じて求めた金額に乗じますが、面積が増えるに応じて80%から64%の評価額に順次逓減していくように率が調整されています。

税理士事務所使用は 仕入税額控除不可かも

税理士事務所使用目的でマンション購入

マンションを購入して、税理士事務所としているケースは珍しくありません。フローリング仕様なら、居宅利用も事務所利用もそのまま障害なく可能です。

ところで、令和2年10月以後取得の居宅利用可能な住宅については、仕入税額控除の適用が原則的に不可となりました。

しかし、税理士事務所が課税事業者だった場合、即座の仕入税額控除は出来ないとしても、3年後の仕入税額控除は出来るはず、と解する人がいるかもしれません。

令和2年10月以後取得の仕入税額控除

条文的には、建物購入後の3年間において居宅用以外の「課税賃貸用」に供したときは、建物取得に係る課税仕入税額に「課税賃貸割合」を乗じて計算した消費税額を第3年度の仕入消費税額に加算し、これをその課税期間における仕入消費税額とみなす、と規定しています。

「課税賃貸割合」から外れるもの

ここでの条文の「課税賃貸割合」とは「課税売上割合」の意ではありません。

適用排除された仕入税額控除を3年後に取り戻せるのは、「課税賃貸割合」の計算が可能なケースのみなのです。「課税売上割合」が100%でも、「課税賃貸割合」が0%だったら、仕入税額控除の取戻しは出来ないのです。要するに、賃貸利用でのみの救済で、自己利用では救済がないのです。

自己利用での仕入税額控除の実現は

税理士事務所としての自己事業供用の場合で仕入税額控除が出来る可能性があるのは、3年後ではなく、事務所使用物件の購入の課税期間に於いてです。

そのためには、そもそも居住用賃貸可能建物ではないのだということを、建物構造及び設備の相違により主張立証しなければなりません。この立証は、条文的には、税理士事務所としての使用実績ではダメなのです。「構造・設備」の類の相違での非居住用性の区分明示が要求されているからです。

当局の運用いかんで厳しさが変わる

事業供用を止めたら即、居住用に転用できる状況ではNOなのか、税理士事務所としての「設備」を整えればOKなのか、そういう基準が不明確です。

民泊については、既に、課税取引には該当するが、建物は住宅で、自己営業使用なので、初年度にも3年後にも仕入税額控除は認められない、という情報が税務専門誌で流されています。

特例措置は2021年2月末まで 雇用調整助成金

雇用調整助成金特例措置終了予定

新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置として、令和3年2月末まで日額上限額の引き上げ等が行われていますが、3月以降段階的に縮小し、5~6月にリーマンショック時並みの特例とする方針が12月8日に総合経済対策で表明されています。そして令和3年1月末及び3月末時点の感染状況や雇用情勢が大きく悪化している場合、感染が拡大している地域、特に業況が厳しい企業について特例を設ける等、柔軟に対応するとされています。

3月以降はどのようになる?

雇用調整助成金の特例措置がなくなるとどのようになるでしょうか? リーマンショック時の主な特例措置を参考に出しますと次のようになっていました。

①  助成率:中小企業4/5、大企業2/3(コロナ特例措置では雇用を維持している場合、中小企業10/10、大企業3/4)

②  生産指標要件:最近3か月の生産量等が直前3か月又は前年同期と比べて原則5%以上減少(コロナ特例措置では1か月5%以上減少)

③  対象被保険者:雇用保険被保険者6か月未満の者も助成(コロナ特例では緊急雇用安定助成金により被保険者でない労働者も助成)

④  支給限度日数:3年300日(コロナ特例措置では令和2年4月1日から令和3年2月末までの期間+1年100日、3年150日)

在籍型出向による雇用維持支援にシフト

今後は産業雇用安定助成金(仮称)を創設し出向元と出向先の双方を支援、出向元には雇用調整助成金、出向先には労働移動支援助成金による受け入れ企業への支援の方向になるでしょう。

また、人手不足企業にはコロナ禍による離職者等で就業経験のない職業に就くことを希望する求職者を一定期間試行雇用する事業主に対する賃金助成制度(トライアル雇用助成金)を創設、紹介予定派遣を通じた正社員化(キャリアアップ助成金)の促進なども予定されています。

雇用調整助成金の特例措置を使っている企業は期間延長が終了したときの変更の対応を検討する必要があるでしょう。