100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.103

2022.12.29 Thu

遡及適用OK 新設法人等のインボイス

新規設立法人へのみなし規定

新規設立法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から適格請求書(インボイス)発行事業者登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業開始日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、インボイス発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされます。

新設法人が免税事業者の場合には、原則として、設立後の事業開始課税期間の末日までに、消費税課税事業者選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要ですが、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなる場合には、登録日から課税事業者となる経過措置があるので、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要はありません。

新設法人特例の適用拡大

新設合併、新設分割、個人事業者の新規開業等の場合も同様です。なお、吸収合併又は吸収分割により、登録を受けていた被合併法人又は分割法人の事業を承継した場合における吸収合併又は吸収分割があった日の属する課税期間についても新たに設立された法人等の登録時期の特例の適用があります。

新設法人特例の通達での適用拡大

また、①非課税資産の譲渡等のみを行っていた事業者又は国外取引のみを行っていた事業者が、新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間、②その課税期間開始の日の前日まで2年以上にわたって国内において行った課税資産の譲渡等又は課税仕入れ及び保税地域からの引取りがなかった事業者が、課税資産の譲渡等に係る事業を再び開始した課税期間、③設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない免税事業者である法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した場合の当該課税期間、についても、この特例の対象となる旨の通達があります。

後出し遡及適用の事後手続きも必要

これらの新設法人等は、当該事業開始からインボイス発行事業者登録を受けるまでの期間については、インボイスの発行は出来ませんので、登録を確認してから、過去に発行した請求書等について、適格請求書に変更する遡及処理をすることになります。

募集しても採用できない

企業の採用活動は活発に

3年近くに及ぶコロナ禍で採用活動においても例年通りにはいかなかった企業も多いことでしょう。しかし企業の採用活動はコロナの終息傾向もあり採用意欲は活発化し、人手不足に拍車をかけています。

マイナビが実施した調査「中途採用・転職活動の定点調査(2022年9月)」の結果をみても、9月に採用活動を実施した企業は全体で39.8%。従業員規模別にみると「51名~300名」で約5割、ほぼすべての業種で採用活動実施率が前年同月比で増加しています。

 

募集しても人が来ない

採用は中小企業の新卒採用にも厳しい状況です。日本商工会議所などが中小企業6,007社に実施した調査では、2021年度の新卒を募集した企業は51.0%でした。予定通り採用できた企業は45.6%でしたが、約2割の企業は「募集したが全く採用できなかった」(19.9%)と回答していて、応募がなかったか辞退されたということでしょう。

マイナビの「2023年採用内定状況と2024年卒採用状況調査」では2024年度卒の採用は78.6%が実施を予定しています。採用予定数を増やす企業が増加すると見込まれています。今後ますます採用活動の激化、転職市場の活発化も行われていくでしょう。

 

採用活動の工夫が必要

採用を取り巻く状況も変化してきています。コロナの影響もあって、オンライン面接が普及しています。応募する側も何社も掛け持ち受験をしているかもしれません。学卒の採用においては前にはよく使われていた「学生時代に力を入れていたこと」などの質問も、コロナ禍では話す内容も違ってくるでしょう。質問する側もこれまでとは違った視点での質問を行わなければならないこともありそうです。

人手不足の中、新卒採用に限らず、企業にマッチした人材を採るには自社の採用手法に工夫を凝らし他社との差別化を図ることが重要となるでしょう。

令和5年4月から残業時間の 割増率が変わる

月60時間超の時間外労働の割増率5割に

令和5年4月1日より1か月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を「5割以上の率」とする規定が中小企業にも適用になります。もともと時間外労働の割増率は2割5分以上5割以下で計算をする、となっています。

2010年4月から労基法の改正により1か月60時間を超える時間外労働は5割以上の割増率で支払うことが決められました。ただし、この改正は中小企業には適用猶予されていて、施行から13年を経て中小企業にも適用される時期となりました。

 

代替休暇の制度もあり

中小企業でも1か月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率5割以上が適用されることになるに伴い「代替休暇」の適用も認められます。「代替休暇」とは1か月間に60時間を超えて時間外労働を行なった場合、労使協定において法定の割増率の引き上げ分の割増賃金の支払いに代えて有給休暇を与えることができるというものです。

協定内容で協定すべき事項は、1か月60時間を超えて労働させた時間に対して何時間の代替休暇を与えるかの計算方法や休暇の単位(1日または半日等)があり、実際に代替休暇を取得するか否かは労働者の意思によります。実施するときは就業規則に「代替休暇制度」を規定しておかなければなりません。1か月60時間を超える残業のある企業はその精算方法についてどのように進めるか労使で協議し、話し合う必要があります。

ほかにも残業時間が長時間になっている企業は、勤怠システム等で労働時間の現状把握をして長時間労働の是正に努めることが必要です。

2022年4月から未払い残業代請求の時効が2年を超えて蓄積する期間に入っています。2023年4月からは3年分の訴求請求が可能になります。残業が多い企業は業務の見直し等対策を行いましょう。

20歳から就職までの数年間の国民年金基金

20歳になったら国民年金(義務)

20歳になって国民年金を払うのは国民の義務です。学生などの無職であっても、20歳になった時に届く「国民年金加入のお知らせ」の中に入っている納付書で納付することになります。

ただし、学生の場合、「学生納付特例制度」で保険料を後で納付することができる制度もあります。また、収入が少なかったり、事情があって働けなかったりする人たちへの特例として、保険料の全額または一部が免除される「免除・納付猶予制度」があります。

保険料を支払わないと万一の時に障害年金がもらえなかったり、将来老齢年金がもらえなくなったりします。その時に保険料の納付が難しければ、年金事務所でこうした制度適用の相談をしてみましょう。

なお、健康保険の場合、無職や無収入で親の被扶養者となれば、保険料の納付はありません。しかしながら、国民年金には、子供の場合、配偶者のように第3号被保険者(=会社員や公務員として厚生年金加入で国民年金の第2号被保険者とされる者の配偶者)で国民年金は納付しなくともよいという制度はありません。

親が支払った国民年金は親の所得控除対象

無収入の学生や無職の同一生計の子供の国民年金を親が納付した場合、この納付分は、年末調整もしくは確定申告を通じて、社会保険料控除として親の所得税計算から控除されます。

子供の将来に備え、親の税負担も減らす!

国民年金の年金額は2021年度の場合満額で年78万900円です。サラリーマンの厚生年金と比べてかなり少なく、これを補う制度として国民年金基金があります。この国民年金基金は、任意の制度であり、会社員・公務員の厚生年金にあたる2階部分が作れるイメージです。親自身が国民年金基金に加入している場合もあるかと思います。

20歳になった子供の国民年金加入の際に、子供の分の国民年金基金に加入してみるというアイデアはいかがでしょうか?

就職して厚生年金に加入した時点で国民年金基金の加入資格は失いますが、それまでの分は将来子供の老齢年金の上乗せ額となります。もちろん支払時には親の所得控除として税金負担を減らしてくれます。親の所得税率にもよりますが、高額所得者の場合、実負担額は半額程度になる場合もあります。一度検討してみてください。