100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.10

2020.10.23 Fri

中小企業支援施策 IT経営簡易診断のススメ

IT経営簡易診断とは

中小事業者の生産性向上にはIT化は必須です。中小企業基盤整備機構は専門家とのヒアリングを通して、経営上の課題や業務の課題、現状の業務の進め方、IT活用状況を把握し、課題解決の方向性を検討します。そこから経営課題と業務課題の可視化と解決に向けたITの活用可能性を無料で提案しています。生産性向上のきっかけとしてご活用ください。

※専門家は、ITコーディネーターや中小企業診断士等、コンサルティング経験、ITに関する知見を持った者です。原則、担当する中小機構の地域本部から派遣します。

対象事業者

1. 経営上の課題、業務上の課題を整理したい、ITの活用可能性を検討したい、生産性向上を目指したい中小企業者

2. 以下の業務に課題がある中小企業者

①顧客対応、営業支援業務(フロント業務)

②総務、会計、人事、労務、在庫、物流等の間接業務(バックオフィス業務)

※主に、小売、サービス、卸を営む事業に適したメニューです。本事業では、ミドルオフィス業務である生産管理や物流管理等の基幹システムに関する提案、情報提供は行いません。

要 件

①中小企業者であること。

②申込者(中小企業者)又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会的勢力との関係を有しないこと。また、反社会的勢力から出資等資金提供を受けていないこと。

③風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営むものでないもの。ただし、旅館業法第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営むものを除く。

④その他公序良俗に反する行為、法令不遵守に該当しないこと。

※申込締切は2021年1月29日です。お早目にお申し込みください。

国境を越えた役務の提供を受けた場合の消費税の会計処理

「電気通信利用役務の提供」の消費税課税

同じ役務提供を受けながら、提供者が国内か国外かで消費税の課税対象となるか否かに違いのあった不備を是正したのが、平成27年10月1日以後適用の「電気通信利用役務の提供」にかかる税法の改正でした。国外からの「もの」の譲渡であれば、輸入時に消費税が課されることで提供者の国内外の差はなく、この差異の是正もありました。

同役務には次のような取引が該当します。

・ネット配信の電子書籍・新聞・音楽等

・クラウド上のソフト利用・ファイル保存

・ネットを介した広告の配信・掲載 ほか

※ゲームソフト利用や英会話教室等、事業者に一般的でないものは割愛しています。

電気通信利用役務の受領者側の会計・申告

(1)消費者向((2)以外)役務への課税方式

例えば、電子書籍やストレージなど事業者以外の消費者にも提供される同役務では、国外事業者に申告納税義務が課されます。

国外の役務提供者が国税庁の「登録国外事業者名簿」に登録していれば、受領者側の会計処理・消費税申告も、課税仕入れとして、国内事業者からの場合と同様、消費税の税額控除ができます。登録がなければ控除できず、法人税上の経費となります。

領収書に「○○社は登録国外事業者であり、消費税の申告および納税の義務を有します」と記載があれば、この取り扱いです。

もしくは、登録名簿で、①アマゾンサービスを登録番号4のAmazon Services International,Inc.、②ファイルクラウドサービスを18番のDROPBOX INTERNATIONAL UNLIMITED COMPANYと確認もできます。

(2)事業者向け課税方式(リバースチャージ)

例えば、広告の配信など、役務の提供先が事業者のみに限られるような取引の場合、申告納税義務を国外事業者に負わせるのではなく、役務の提供を受けた国内事業者に課す方式が取られています。

具体的には、国外事業者から当該役務の提供を受けた国内事業者が、「特定課税仕入れ」として、申告・納税を行います。これをリバースチャージと言います。しかしながら、実際には、課税売上割合が95%以上の事業者等には、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとし、簡素化されています。

※「特定役務の提供」も「特定課税仕入れ」としてリバースチャージ方式による申告・納税義務が課されていますが、本稿では割愛しています。

台風で休んでも給与は発生する?災害時の労務管理

突然の災害! その時社員は…

日本は、災害列島と表現されることもあるほど、自然災害の多い国です。

日本各地で発生する地震や台風、豪雨、津波、噴火などの厳しい自然災害は、私たちに突如として襲いかかり、日常生活を大きく変えてしまいます。

災害に備え、いざという時に慌てないためにも、日頃から避難経路の確認や防災用品の備蓄を心掛けたいですね。

ところで、もし職場にいる時や出勤前に災害が起こったら、労務管理上はどのような対応になるのでしょう。

交通網が麻痺していない限りは出勤するべきなのでしょうか。また、危険を回避するために自己判断で休んだ場合、給与の取扱いはどのようになるでしょう。

労働者都合か、使用者都合か

まず、労働基準法第26条に、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中該当労働者に、その平均賃金の100 分の60 以上の手当を支払わなければならない」とあります。

しかし、天災は「使用者の責に帰すべき事由」には当たりません。例えば、台風により公共交通機関が停止して、職場に通勤不可能であった場合も、通勤は可能であったが労働者側が危険回避等のため自己判断で休んだ場合も、使用者都合とは言えず、ノーワーク・ノーペイの原則に則り、従業員が勤務しなかった部分については、給与を支払う必要はありません。

ただし、労働者判断ではなく、労働者への配慮として会社側の判断で自宅待機、早退等とした場合は、前述の「使用者の責めに帰すべき事由」となるので、休業手当を支払う必要があります。

特別休暇の整備など柔軟な対応を

天災は誰の責任でもありません。法律上は休業補償が必要ではない状況ではあっても、会社側は、可能であれば有給休暇や特別休暇として積極的に休暇取得を促した上で通常勤務分の賃金を支払う等、なるべく社員の気持ちに寄り添った対応をしたいものです。

地震や大雨による事業所の被災でやむなく休業し、その際に休業に関する手当を支払った場合は、雇用調整助成金の対象となる場合がありますので併せて確認してみましょう。

解雇予告手当の所得税と関連社会保険や労働保険の手続き

解雇予告手当は退職所得

コロナ禍の収束が見えない中、雇用調整助成金の活用などで何とか凌いできた企業でも、後は人員削減しか手はないといった段階に進んでしまうところも少なくないものと危惧されます。新聞紙上でも、「○○社(=名の知れた大企業)で希望退職○○人募集へ」などといった記事が目につきます。

新型コロナウイルスの感染拡大による経営危機を理由に解雇やリストラが行われる場合も、通常の解雇と同様に、解雇(=それが正当な理由であることを前提とします)に際しては、使用者は30日前までに解雇日を予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとされています。

退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与は「退職手当等」とされ、退職所得として課税されます。

退職所得の源泉徴収税額の計算等

退職手当等が発生する場合には、毎月の給与の所得税の源泉所得税とは別に、退職所得の源泉徴収税額の計算をしなければなりません。使用者は、従業員から「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらい、それに従って計算をします。

源泉徴収された退職所得にかかる所得税及び復興特別所得税も、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。退職手当等の支払をする者は、退職所得の源泉徴収票(同合計表)を退職の日以後1月以内(翌年1月31日でも可)に納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

その他退職時の社会保険等の一連の手続き

主に下記のような手続きが発生します。

(1)雇用主の手続き

①社会保険・・・「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を退職日の翌日から5 日以内に年金事務所(健康保険組合・厚生年金基金) に提出。本人に年金手帳を返還。

本人から家族分を含め健康保険証を回収。

②雇用保険・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」を退職日の翌日から10日以内に公共職業安定所に提出。本人の希望により「離職票(被保険者離職証明書)」を添付。

③住民税・・・特別徴収に関し、必要な確認・徴収を行い、退職者の住民税の区市町村に「給与所得者異動届出書」を提出。

(2)退職者の手続き

健康保険証を返還し、年金手帳の返還を受ける。給与・退職所得の源泉徴収票を受領。希望する場合は「離職票」作成を依頼。

カレンダー上の祝・休日と会社の休日は同じではないの?

正月休みはカレンダー上の休日ではない?

関与先で働く外国人から「周囲の人たちの話を聞くと1/2-3は休業日らしいが、カレンダーではそんな記載はされていない。何を参照すれば休日がわかりますか?」という質問がありました。当たり前と思っていた正月休みも確かにカレンダー上は祝日ではありません。どんな背景でしょうか?

国民の祝日と行政機関・銀行の休日

国民の休日は「国民の祝日に関する法律」で定められていますが、1/2-3は祝日ではありません。一方、「行政機関の休日に関する法律」では12/29-1/3が行政機関の休日とされています。一般的には、銀行の休日(年末は12/31-1/3)に合わせて年末休みの開始日が変わってくるものと思われます。

行政機関や銀行が休みだし、年末年始休暇が慣習的にあるので、1/2-3の正月休みが定着しているものと考えられます。

労働基準法で規定の労働時間、休憩、休日

労働者の労働時間や休日は労働基準法で定められています。

(1) 労働時間、休憩

労働時間は、原則として休憩時間を除き、1週間について40時間・1日8時間(法定労働時間)を超えてはいけません。労働時間が6時間超の場合は45分以上、8時間超の場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。

(2)休日

労働基準法では、休日に関し、「使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」(法定休日)と規定されているだけで、いつを休みとするかは規定されていません。

ただし、一般的な労働時間制限では1週間に1度の休日では、週の労働時間が40時間を超えてしまうため、休日をもう1日設けなければいけないことになります。もう1日は会社が自由に決められる所定休日(法定外休日)となります。会社の創立記念日や国民の祝日を休日と定めた場合も、それらは所定休日となります。

休日とは、日曜日や祝祭日である必要はなく、事業主と労働者の合意により任意に決定することができます。業種や労働環境で一律には決められません。

以上の背景から、「一般的に、週休2日で土日を休みとし、年末年始・お盆休暇を設けている。よって、日本では1/2-3を休業日としている会社が多い」というのが冒頭の質問に対する回答と言えます。