100年企業創りレポート

藤間秋男の100年企業創りレポート
vol.286 2022.3月号

2022.02.28 Mon

1.なにもかも上手くいかせようとするのは、方法論として間違った考え方だ  阿佐田 哲也

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表 中土井鉄信氏のメルマガ

                     「【考えるヒント・今日の言霊】2022年1月6日(木)VOL.5362号」より

■今日の言霊 阿佐田哲也

なにもかも上手くいくはずはないのだから、

なにもかも上手くいかせようとするのは、方法論として間違った考え方だ。

 

■考えるヒント〈中土井氏の解釈〉

人生は、自分の思い通りにはいかない物語だ。事後的には、つまり、ある時点のことを振り返れば、もしかすると思い通りにいったと思えるかもしれないが、それでも、ほとんどが思い通りにはいっていないのではないか。それほど、人生は自分の思いのままにするのが難しい。

 

だからこそ、完璧を目指すのだが、だからと言って、その完璧に固執すると大きく間違うことになる。前に進まないどころか、どんどん自分を小さくしてしまう。完璧に出来ない自分を責めてしまうからだ。

 

私たちが大切にすることは、完璧を目指すことであって、完璧になることではない。そもそも完璧なことなど、人生にはないのだ。思い通りにはいかないのだから。しかし、完璧を目指さなければ、完成はない。理想のないところに、成長などないからだ。思い通りにいかない人生だけれど、思い通りを目指すことだ。固執しすぎないように。

阿佐田哲也先生は、私の青春時代の師であります。私の、高校・大学の愛読書は、『麻雀放浪記』。学生時代は、寝ても覚めても麻雀。少しのアメリカンフットボール。学業は、落第してはいけないことだけを考え、ありとあらゆるズルテクニックと、必ず試験終了後

には先生の自宅にうかがい、差し入れとお願いの日々でした。

麻雀の面白さは、1人でなく4人でやり、4人とも性格や麻雀の打ち方が違い、その性格を読んで、運のある時とない時を感じ、運のある時はひたすら攻めまくり、運のない時はひたすら守る。人生と同じ感じがします。あとは気力です。牌を引く時は(盲牌中に)欲しい牌に変わるぐらい気を入れて引きます。それを教えてくれたのが「麻雀放浪記」でした。

高校・大学と本当に強く、そんな私と一緒に麻雀を打って鍛えられた仲間たちは、大学を卒業して会社に入って麻雀が強くなり、結婚式の同僚のスピーチでも「〇〇君は麻雀が強くて」と言われる人が続出でした。同期のテーブルでは、みんなであの下手だった彼が会社では強かったんだねと笑っていました。結果、大学3年の時、「週刊大衆」という雑誌の、全国麻雀大会でダントツの関東1位(3,000人ぐらいの参加で)でした。全国大会で6位。今は、ギャンブルはほとんどやっていません。

それは、仕事にギャンブルにも通ずる面白さがあるからです。トライするものは全て成功が約束されていません。35周年の時に記念誌を作成する際に行なった事業を確認してみたら、13勝10敗7引き分けでした。5年前なので、そこから引き分けの中から1勝1敗が出ています。阿佐田先生は、うまくいって9勝6敗、普通で8勝7敗。10勝7敗は出来過ぎと言ってました。

この言葉は麻雀と通じていて、全て勝てるわけではなく、何回かのトータルゲームなので、全てうまくいくわけではなく、運のない時は負けを少なくし、運のある時は大勝する。人生も同じではないでしょうか。今の私の人生は阿佐田先生の「麻雀放浪記」に学んでいるのかもしれませんね。

本名、色川武大で、直木賞もとられ「朝だ、徹夜だ」から「阿佐田哲也」とペンネームにしたと言われています。もう亡くなられて30年経ちます。

2.人生二度なし(森信三氏)・三つの真実(田坂広志氏)

致知出版社のメルマガ「偉人たちの一日一言 ~致知出版社が贈る人生を養う言葉~」

『人生二度なし』

人間学の要諦が見事に書き記された『修身教授録』は、刊行以来、多くの人に読み継がれてきた。本書はその著者、森信三師の生前の著作である。

本文中「人間の一生」という章において師は語る。

「どうせやるなら覚悟を決めて10年やる。すると20から30までにはひと仕事できるものである。それから10年本気でやる。すると40までに頭をあげるものだが、それでいい気にならずにまた10年頑張る。すると、50までには群を抜く・・・・・」

真の生き方を語る言葉に触れ、“人生二度なし”の覚悟が生まれる。

『修身教授録』。昔、ある研修で読まされて、1ページ読んでは眠くなりの連続で、全然読めませんでした。まだ、人生を本から学ぶ覚悟ができていなかったのでしょうか。今は、この言葉だけでビシビシと心の中に入ってきます。

また、田坂広志氏(多摩大学大学院名誉教授)は「三つの真実」という言葉で、同様の内容を表しています。

「リーダーが定めるべき覚悟は『死生観』である」田坂 広志(WEBサイト「GLOBIS知見録」)

「三つの真実」とは、「人は、必ず死ぬ」「人生は、一度しかない」「人は、いつ死ぬか分からない」

その三つです。

この言葉を知って、死ぬことを恐れずに、今日を一生懸命に努力し続けることを決意しました。毎日毎日一生懸命生きて、ある日突然バタッと死ぬことが最高の人生だと思います。

3.最大の危機は、低すぎる目標を達成する

「最大の危機は、低すぎる目標を達成すること」日本を美しくする会 相談役 鍵山秀三郎

(株式会社タニサケの社内報「フレッシュタニサケ」より)

① ミケランジェロは、「最大の危機は、目標が高過ぎて達成できないことではない。目標が低過ぎて、その低い目標を達成してしまうことだ」と述べています。

② 皆さん方にはぜひ、自分の手にあまるくらいの大きな目標を設定して挑戦していただきたく思います。

もちろん目標が大きければ大きいほど、大きな壁が立ちはだかるものです。ときには、とても自分には乗り越えられないと思うこともあるかもしれませんが、乗り超える必要はないのです。こういうときには、そこに穴を開けて、くぐり抜けていけばいいのです。

③ イギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは、「いかなる教育も逆境から学べるものには敵わない」と言っています。では、逆境に遭うことがすべてかといえば、そうではありません。日頃から様々なことを通じて学んでいるからこそ、逆境から学べるのであって、何の備えもない人が逆境に遭うと、そこで潰れてしまいます。やはり大事なことは、日々いろんな人や書物から学んで、それを血肉にしていくことだと思います。

TOMAの各部門でも、でっかく夢を語って高い目標を立てる部門長ほど成長しています。チャレンジ精神をもって臨むと、必ず近づくのです。

オリンピックに参加したいと思っている人は金メダルは獲れません。絶対に金メダルを獲りたいと思っている人しか金メダルが獲れないのと同じです。人生をどう生きるかだと思います。仕事面での成功者は、高いハードルに常に臨み、成功しています 。

4.アマゾン、ジェフ・ベゾスが明かす「人生で大勝ちできる」1つの条件

「ジェフ・ベゾスが明かす『人生で大勝ちできる』1つの条件」(WEBサイト「DIAMOND online」より)

ひとつの大勝ちが多くの実験をまかなう   ~ジェフ・ベゾス『Invent & Wander』からの抜粋~

① 私たちがとりわけ独特だと思っていることは、「失敗」をどう捉えるかという点です。

② アマゾンは失敗するには最高の会社で、(たくさん練習できます!)失敗と発明は切っても切り離せないものだと考えています。何か新しいものを生み出すには失敗が欠かせませんし、前もってうまくいくとわかっていたら、それは実験ではありません。

③ たいていの企業はイノベーションを推奨すると口では言っても、そこに至るために繰り返し実験に失敗する覚悟はありません。

④ 世の中の常識に外れたものに賭けてこそ、思いも寄らないような莫大なリターンが生み出されるわけですが、たいていの場合、世の中の常識の方が正しいものです。

⑤ 投資に対して100倍のリターンが得られる確率が10パーセントであるとしたら、かならずその賭けに乗るべきです。それでも、10回挑戦して、9回失敗することになります。いつもフェンス越えを狙っていれば、三振も増えますが、ホームランも何本かは打てるわけです。ただし、ビジネスと野球は違い、野球の場合は結果が切断分布になります。バットを振ったとき、どれほど遠くに飛ばしても得点できるのは4点までです。ビジネスであれば、打席に立つことで、ほんのたまにではありますが1,000点挙げることも可能です。

⑥ このように、ビジネスではリターンの分布がロングテールであるからこそ、大胆な賭けが大切になるのです。大勝すれば、たくさんの実験のもとが取れるというわけです。

⑦ プライム、マーケットプレイス、AWSの3つはいずれも大きな賭けがうまくいった例で、アマゾンは幸運にもこの三本柱を持つことができています。

⑧ アマゾンはこれだけの規模だからこそ、その規模を上手に使えば、小さな企業には考えられないようなサービスをお客様に提供することが可能になるのです。ですが同時に、私たちが気を緩めたり思慮を欠いたりすれば、規模の大きさゆえに進歩が遅れ、斬新さを失いかねません。

⑨ アマゾンのチームメンバーと顔を合わせるたびに、いつも彼らの情熱と知性と創造性に驚かされます。

ジェフ・ベゾスは人生で大勝ちできる1つの条件として、「失敗」は実験と考え、発明と切っても切り離せないものと考え、何か新しいものを生み出すには、失敗は欠かせないことだと言っています。私も40年の経営の中で、たくさんの失敗をしてきました。本レポートの1項でも触れていますが、事業的に言うと13勝10敗7引き分けでした。この10敗が今のTOMAをつくってきたと思います。何でも、やってみよう!やってみよう!と考え、いろいろな会社や部門をつくってきました。

 

【失敗】

① M & A の会社を早くつくりすぎてやめました。(35年以上前)

② 節税クラブを作りましたが、うまくいきませんでした。

③ CFO育成事業をやり、詐欺にあいました。

④ 建設業コンサルタントの協会をつくり、全然仕事にならずに撤退しました。

⑤ その他いろいろと実験して失敗しました。

【成功】

① 40年前に開業し、お客様0、社員0の時に、事業承継の本を出して、事業承継コンサ

ルタントをスタート。講演を1500回してTOMAの主力商品となっています。

② 35年前に「一人医療法人」が認められた時に「一人医療法人」の本を出して、セミ

ナーをして、医業経営部(現ヘルスケア事業部)のスタートになった。

③ 35年前に、経営計画コンサルをスタートし、現コンサル部のスタートになった。

④ 30年前、現在の人事労務コンサル部をスタート。20年はうまくいかずに、今はTOMA

の主力商品になっている。

 

すべて、やったこともなく実験して成功しました。その他、15年前のITコンサル部、10年前の国際部などもすべてやったこともなく実験しています。失敗という実験の中から、成功するビジネスが出てくるのですね。